双曲距離の三角不等式

単位開円板DにはD上自己正則同型で不変な計量が入り、故に自己正則同型で不変な距離が入る。

普通はこのようにPoincare計量を定めてから距離を入れるが、天下り的にd(z,w)=log(1+|F(z,w)|)/(1-|F(z,w)|)と定めることも可能である(2点の片方を原点へ移動させて、原点を通る測地線が直線であることを使う)。ここでF(z,w)=(z-w)/(1-zw*)である。

その場合、dが距離となることを初等的に示すことができる。

d(z,w)>=0,d(z,w)=0⇔z=w,d(z,w)=d(w,z)は定義より明らかだが、三角不等式だけは少々面倒なのでこれを考える。

 

補題

|F(F(z,w),F(v,w))|=|F(z,v)|

proof:

 

本題

d(z,w)+d(v,w)>=d(z,v)

proof:

まずa=F(z,w),b=F(v,w)とおくと補題より|F(z,w)|=|F(a,b)|

示すべき三角不等式を変形してlog(1+t)/(1-t)>=log(1+s)/(1-s)という形にすることができる。

ここでs=(|a|+|b|)/(1+|ab|),t=|(a-b)/(1-ab*)|

log(1+x)/(1-x)はxに対し単調増加だからs>=tを示せばよく、そのためには1-s^2<=1-t^2を示せばよい

計算すると左辺と右辺の分子に(1-|a|^2)(1-|b|^2)が共通して現れ、分母は(1+|ab|)^2と|1-ab*|^2である。

(普通の複素数のノルムによる)三角不等式より証明を終了する。

位相群の偏連続と全連続

 突然ですが問題です

問題 : 位相が入っている群Gであって、その位相に関してGの演算が偏連続かつ逆元を取る操作が連続ならば演算の全連続性は言えるか?

 

答えはノーです

ご存知の方も多いと思いますが、無限群に補有限位相を入れれば反例になります(確かめるのは難しくはないです)

 

しかしここで少し考えていただきたいのですです

補有限位相はハウスドルフ性を満たしません

こんな例であなたは満足しますか?

 

何故こんなことを聞くかと言うと、私は位相群にハウスドルフ性を課す流儀だからです

つまり私はこの反例にはハウスドルフ性を課すべきだと思います(これはただの美意識とかの問題です)

 

 

ここで、ようやく今回のメインとなる問題を問うことができます

つまり、問題 : ハウスドルフな位相が入っている群Gであって、その位相に関してGの演算が偏連続かつ逆元を取る操作が連続ならば演算の全連続性は言えるか? です

 

少し補足をするべきです、ハウスドルフ,群とかは調べれば定義が出てきます

次に Gの演算とは*:G×G→Gのことで、G×Gには積位相(この場合は箱位相と一致)が入り、全連続性とはその位相についてこの写像連続写像になることです

偏連続性はこれよりも弱い概念で、∀g∈G x→gx,xgがそれぞれ連続であることです

 

 

 

以下解答です

 

 

 

 

まずG=R^2とし、i_a:x→(x,a),j_b:y→(b,y)とします

Gの開集合系O={U⊆G : ∀a,b (i_a)^-1(U),(j_b)^-1(U):Rの開集合}と取ります

これは明らかに有限交叉,(濃度は一般の)合併について閉じています

この位相はユークリッド空間の位相より真に強いのでハウスドルフですし、Oは平行移動について閉じているのでGの演算は偏連続です

 

以下全連続を仮定し、矛盾を導きます

V=G\{(x,y) : x^2=y^2>0}と置きます、これは平面から対角線を抜いて原点を付け加えたものです

これは普通の位相では開でない(原点が内点ではない)がこの位相については開です

今、全連続性から原点の開近傍U_1,U_2であってU_1*U_2⊆Vとなるものが取れます

演算の像がVに入るものです

ここでOの定義より、Rの0を含む開区間I_1,I_2であって、I_1×{0}⊆U_1,{0}×I_2⊆U_2となるものが取れます

故に正の数δを十分小さく取れば(δ,0)∈U_1,(0,δ)∈U_2となり、(δ,δ)∈VとなるがこれはVの定義に矛盾します

 

つまりこのGは全連続ではないです

はじめまして!

さなです!数学が好きです!このブログは主に自分が勉強したことについての備忘録として使っていく予定です!

 

自己紹介がてらに私が好きな小さめの定理(小ネタ?)を紹介しようと思います

 

Theorem.

(G,+)を可換群とし,ノルム\| \cdot \| \colon G \rightarrow \mathbb{R}_{\geq 0}が定まっている.ここで\mathbb{R}_{\geq 0}は0以上の実数全体の集合,ノルムとは{}^{\forall}x \in G [\|x\|=0 \Leftrightarrow x=0],{}^{\forall}x \in G [\|x\|=\|-x\|],{}^{\forall}x,y \in G[\|x+y\| \leq \|x\|+\|y\|]を満たすものとして使った.

このとき以下は同値

 (i) Gはこのノルムについて完備

(ii) 絶対収束する級数は常に収束する.

つまり,{}^{\forall}x_1,x_2,\ldots \in G[\|x_1\|+\|x_2\|+\cdots が収束\Rightarrow x_1+x_2+\cdots がGのノルムについて収束]

 

Comment.

完備とは任意のコーシー列が収束することで,収束はεN論法でよくあるアレの絶対値で書かれてる部分をノルムに変えたソレって認識で多分あってます.

実数の連続性のバリエーションの1つ,上に有界な単調増加な実数列は収束する,という事実を用いると級数\|x_1\|+\|x_2\|+\cdotsの収束性と有界性は同値です.

またこのTheoremはG=\mathbb{R},\mathbb{C}として(ノルムは普通の絶対値),使われることが多く,多分このブログでも度々お世話になると思います.

 

 

Proof.

(i)\Rightarrow(ii)

\|x_1\|+\|x_2\|+\cdotsが収束したとする.完備性を用いてx_1+x_2+\cdotsの存在を導く.

任意に\epsilon>0をとったとき,絶対収束性の定義からN \in \mathbb{N}が存在してn \geq N \Rightarrow | (\|x_1\|+\|x_2\|+\cdots)-(\|x_1\|+\|x_2\|+\cdots +\|x_n\|)| \leq \epsilonとなる.

つまり\|x_{n+1}\|+\|x_{n+2}\|+\cdots \leq \epsilon …(1)

a_n=x_1+\cdots+x_nとおくと以下の通りこれはコーシー列になる. 

n,m \geq Nを任意にとったとき,\|a_n-a_m\| \leq \epsilonとなることを示せば良い.

\|a_n-a_m\|=\|x_{m+1}+\cdots+x_n\|または\|-(x_{n+1}+\cdots+x_m)\|となり

(どっちになるかはn,mの大小関係に依存)

ノルムの性質の2,3番目を使うことで\|a_n-a_m\| \leq \|x_{m+1}\|+\cdots+\|x_n\|または\|x_{n+1}\|+\cdots+\|x_m\|となる.

n \geq mとしても一般性を失わず

\|a_n-a_m\| \leq \|a_{m+1}\|+\cdots+\|x_n\|

                   \leq \|a_{m+1}\|+\cdots

                   \leq \epsilon

最後に(1)を使った.

以上より(a_n)_{n=1,2,\ldots}はコーシー列であり,完備性からx_1+x_2+\cdotsは存在(つまり収束). ☕

 

(i)\Leftarrow(ii)

コーシー列(a_n)_{n=1,2,\ldots}をとってこれが収束すればいい.

コーシー性からk=1,2,\ldotsに対し{}^{\forall}n,m \geq N_k [\|a_n-a_m\| \leq 2^{-k}ととることができ,

\|a_{N_1}\|+\|a_{N_2}-a_{N_1}\|+\|a_{N_3}-a_{N_2}\|+\cdots \leq \|a_{N_1}\|+2^{-1}+2^{-2}+\cdots=\|a_{N_1}\|+1

と評価できる.(ここら辺は少々テクニカルではある.)

絶対収束するなら収束するので,今a_{N_1}+(a_{N_2}-a_{N_1})+(a_{N_3}-a_{N_2})+\cdotsは収束する.

a_{N_1}+(a_{N_2}-a_{N_1})+(a_{N_3}-a_{N_2})+\cdots+(a_{N_k}-a_{N_{k-1}})=a_{N_k}がこの級数の部分和となりk \to \inftyで収束するが,実は証明はこれでは完結しない(えー!)

今言ったのはあくまで\lim_{k \to \infty}a_{N_k}の存在であり, \lim_{n \to \infty}a_nの存在よりも弱い条件であるからだ.

\alpha=\lim_{k \to \infty}a_{N_k}とおき,N_kの形をしていないようなnについてもちゃんと\alphaに近づいていることを確認しよう.

\epsilon>0を任意にとったとき,k \geq K \Rightarrow \|a_{N_k}-\alpha\| \leq \frac{\epsilon}{2}となるKがとれる

 N=N_{max{K,\lceil log{2}\frac{2}{\epsilon} \rceil}}とおけばN_kの定義からn,m \geq N \Rightarrow \|a_n-a_m\| \leq 2^{-max{K,\lceil log{2}\frac{2}{\epsilon} \rceil}}

 \leq 2^{-log{2}\frac{2}{\epsilon}}

=\frac{\epsilon}{2} となる.

n \geq Nに対し,\|a_n-\alpha\| \leq \|a_n-a_N\|+\|a_N-\alpha\| \leq \frac{\epsilon}{2}+\frac{\epsilon}{2}=\epsilon

つまり,(a_n)_{n=1,2,\ldots}は収束する. ☕

 

 なんか,\|a_{N_1}\|+\|a_{N_2}-a_{N_1}\|+\|a_{N_3}-a_{N_2}\|+\cdotsみたいな議論を途中でしてたんですけど,わりとよく使うテクニックで,

例えば\frac{1}{1}-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\cdotsの収束性を示すときに,\frac{1}{2k-1}-\frac{1}{2k}をまとめて絶対値とっていって

\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{2k(2k-1)}有界性に話を移したりできます.